トップメッセージ 財団概要

日本におけるインパクト投資の市場構築と
インパクト志向の資源循環の
仕組みづくりを目指して

一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)
理事長 大野修一

社会変革推進財団(SIIF)は、2019年10月、社会的投資推進財団と社会変革推進機構が合併して、新しいスタートを切りました。この合併により、旧組織での日本におけるインパクト投資の市場構築というミッションから、さらに広げて「社会課題解決と多様な価値創造が自律的・持続的に起こる社会を目指し、自助・公助・共助の枠組みを超えて、社会的・経済的な資源の循環の仕組みをつくる」ことを新たなミッションとし、推進する体制を整えることができました。これもひとえにご支援いただきました皆様のおかげと感謝しております。

さて、2019年度を振り返ると、世界の潮流はSDGsやESG投資等、より良い社会の実現を目指す活動を推奨してきました。同時に、企業の事業活動が社会に及ぼす悪影響を排除すべきであるとする考え方が一般化した一年であったと考えます。この動きにのって、インパクト投資の市場は欧米を中心に急速な成長を遂げました。日本においても大手金融機関のみならずコミュニティ財団の新規参入が見られる等、徐々にではありますが、社会的な関心を集めるようになってきました。しかしながら、世界のインパクト投資市場が推計で54兆円規模に成長しているのに対し、日本は4,480億円にとどまるものと推測され、未だ発展途上にあると言わざるをえません。

このような状況の下、当財団は、日本のインパクト投資市場拡大のための先行モデルとなりうる以下のような取り組みを2019年度において実施することができました。

  • 金融機関等と共同で組成したインパクトファンドの運営を本格的に開始しました。
  • 制度の設計段階から関わってきた休眠預金の活用を通じたインパクト投資のモデルを創造し提案し、資金分配団体として採択されました。
  • ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)については、国内最大の企業連携型SIBや世界初の禁煙支援SIBを、地方自治体や事業者の皆様と共に組成、出資しました。
  • 地域に人材、自然、文化などの新たな資源の循環を生み出す仕組みをつくるための出資や人材・組織支援プログラムを開始しました。

安倍総理は、2019年のG20大阪サミットにおいて、「日本は、地球規模課題の解決に必要な資金確保のため、インパクト投資や、休眠預金を含む多様で革新的な資金調達のあり方を検討し、国際的議論の先頭に立つ考え」であることを明言しました。これまでの当財団の活動にも、より一層の弾みとなり、引き続き、インパクト投資市場における牽引役として邁進する決意です。今年初めからは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大もあり、私たちの仕事や生活のあり方、価値観までにも影響を与え始めています。「より良い社会とはなにか」を、今一人ひとりが考えるようになりつつあるのではないでしょうか。

当財団は、社会にとって良いことを追求する資金や人材、知見等の資源が循環する新たなモデル事業を創出し、その呼び水となる投資を自ら実施するとともに、その事例をより多くの協働者に広げます。また、調査研究や政策提言によりモデル事業が拡大し発展するための環境整備を行うことで、社会課題の解決と価値創造が自律的かつ持続的に起こる資源循環のエコシステムを構築することを目指していきます。私自身、2020年6月に坂東眞理子初代理事長からバトンを引き継ぎ、託された役割を全うすることで、当財団のミッション達成に邁進する所存です。

今後ともSIIFへの一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

インパクト志向の資源循環とは

社会課題解決や価値創造のための活動で、社会的インパクトを重視することを基本に、投資とは言えない資金(寄付や助成に近い資金)や人材、知見、その他の経済的価値では測れない社会資本、人的資本、感情資本等の価値の循環を指します。旧SIIFは、インパクト投資の市場構築を目標としていましたが、合併後は、より柔軟な資金提供、すなわち経済的リターンがそれほど見込めないため「投資」とは言えないが、寄付や助成よりは支援先にとって責任ある活動が求められる資金提供の方法(例えば元本だけは返ってくるなど)も視野に入れた支援も検討しています。私たちは資金提供者のリスク許容度にあわせた、より柔軟な資金提供が社会課題の解決に活かされる状態を目指しています。