ベネフィットコーポレーション等に関する調査 ケーススタディ
⽇本版のベネフィットコーポレーション法制度や
それを⽀える⺠間認証のあり⽅に関しての提⾔外部投資家参加型インパクト投資ファンド。ベネフィットコーポレーション調査
インパクト投資
本調査では、BC法制度や本認証制度の先進国である⽶国において、多くの州が参照しているB Labが策 定の⽀援をしたモデル法「Model Benefit Corporation Legislation及び、登録企業最多のデラウェア州の改正会社法「Delaware General Corporation Law,」、英国の社会的企業の振興や⾮営利セクターの⾒直しを図る⽬的で策定されたコミュニティ利益会社を調査対象としています。また、これから法制度を検討するための参考になる国として、2015年末に⽶国に次いで世界で2番⽬にBC法を成⽴させたイタリア、2022年10⽉法改正でBCについて定義したスペインの2か国におけるBC法 制度、認証制度の現状も掲載しています。 また本調査にあたり、⽶国でモデル法(Model Benefit Corporation Legislation)を草案したWilliam Clark ⽒(所属︓President of The Global Alliance of Impact Lawyers, GAIL)を始めとする海外有識者・事業者 17名へのインタビューと、国内事業者、アカデミアを含む30名へのヒアリング及び座談会の要点をまとめました。
日本版ベネフィットコーポレーション法制度の
意義と求められる視点
- 【総論】日本版BC法制度(仮)は、単に法人格を新設するのみに留まらず、本来の目的である営利企業による公益の実現(インパクトの創出)によって 社会課題の解決や社会価値の創造に資するものとする必要がある
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・ BC企業は、その定款に自社が追及する一つまたは複数の 公益の定義をすべきである
・BC企業は、事業活動の結果である 社会課題の解決や社会価値の創造に関し、ベネフィットレポートによる情報開示を促進すべきである
・BC企業は、経済的活動と公益の実現を同時に追求しながら、事業活動の全てのステークホルダーの利益に配慮すべきである - 【適用範囲】日本版BC法制度(仮)は、企業規模・業種を問わず、すべての営利企業にとって、選択・活用可能な法人格とするべきである
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・中小零細企業やスタートアップに対する要求事項には比例性(プロポーショナリテイ)への配慮が必要である
・大企業や多国籍企業で複数の事業分野や操業地域を有している場合や、子会社・関連会社等を複数有している場合において、複雑な事業形態に対応するための事前検討をしておくべきである - 【組織の信頼性の確保】BC企業の組織としての信頼性を確保するために、社会や環境に対する取り組み状況を客観的に評価できる、B Corp認証のような、第三者基準による民間認証の活用は有効である。
- 【事業の質の担保】BC企業が事業を通じて創出する公益(インパクト)の質を担保するためには、インパクト測定・マネジメント(IMM)のような、一定の基準や実行性を担保するための仕組みを普及していくことが望ましい
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・IMMの実施促進のためには、インパクト・データ/エビデンスの環境整備を合わせて行うことが望ましい
- 【透明性と情報開示】 BC企業の、組織としての取組みや、事業を通じて創出する公益(インパクト)に関する説明責任を果たすため、ベネフィットレポートを用いた情報開示は、一定の基準や実行性を担保する仕組みを設けることが望ましい
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・ベネフィットレポートの作成に関する手引き・ガイドラインが提供されることが望ましい
・ベネフィットレポートの記載項目は、比較可能性のために共通化することが望ましい - 【マルチステークホルダーアプローチ】BC法制度の本格的な検討に先立ち、BC企業及びそれをとりまくステークホルダーを特定し、そのニーズを把握したうえで、法制度の設計に反映すること
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【国際潮流への対応】グローバルなBenefit Corporationの 潮流と反しない形で国内法制度を整備する必要がある。なぜ、各国にBCが生まれたのかの背景も含め、法制度設計時及び導入時に周知すること。なおその際には、各国の法体系の差にも配慮を行うこと
- 【国際潮流への対応】
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グローバルなBenefit Corporationの 潮流と反しない形で国内法制度を整備する必要がある。なぜ、各国にBCが生まれたのかの背景も含め、法制度設計時及び導入時に周知すること。なおその際には、各国の法体系の差にも配慮を行うこと
- 【プロモーション】 BC法人格の制度運用においては、BCになり得る企業への認知の獲得のみならず、社会全体の認知向上を図る必要がある。
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投資家、金融機関、教育機関、自治体、そして一般市民に至るまで、あらゆるステークホルダーに対して当制度自体のプロモーションを行うことが必要である
評価プロセス
氏名 | 属性 | 備考 |
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William Clark |
米弁護士(専門は会社法)President of The Global Alliance of Impact Lawyers (GAIL) |
米国でモデル法(Model Benefit Corporation Legislation)を草案。このモデル法を基にカリフォルニア州、ニュージャージー州等複数の州でBenefit Corporationの法律が制定された。 |
Marcel Fukayama |
Head of B Lab Policy Group Co-Founder & President, Sistema B Brazil |
B Corp認証企業にとどまらずBmovementのコミュニティを強化し、ビジネスにおける「成功」の再定義を目的としたシステマBブラジルの共同設立者。南米におけるBenefit Corporationの法律制定に向けた取り組みを推進。 |
Katharine Hill |
EU Policy Advisor, B Lab Europe |
BLabUKのエグゼクティブ・ディレクターを務めた後、2022年6月までB Lab EuropeのCEO。EU各国のBenefit Corporationの法律制定とCommunityとの関係に造詣が深い。 |
Marilou van Golstein Brouwers |
Board Member, GIIN Impact Advisor, SIIF |
2013年から2019年までトリオドス投資マネジメント会社の会長を務めた後、2018年から2022年4月までB Lab EuropeのChair of Supervisory Board。インパクト投資とB Corpコミュニティに造詣が深い。 |
- 目次:
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- イントロダクション
本調査の目的および背景
謝辞
- 諸外国のベネフィットコーポレーション法制度およびBCorp認証制度の現状調査
諸外国の制度の比較(サマリー)
米国BenefitCorporation
英国CommunityInterestCompany
イタリアSocietàBenefit
スペインlasSociedadesdeBeneficioeInterésComún
BCorp認証制度
- 海外有識者インタビュー結果
- 海外ベネフィットコーポレーション/BCorpの事例調査
- 国内の関係者へのヒアリング調査
- 国内の関係者によるラウンドテーブル
- 日本版ベネフィットコーポレーション法制度の意義と求められる視点
- 参考資料
参考文献一覧
その他、調査対象の制度などの関連資料